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S-601 納車整備6 [ラビット]

さて、外したチェーンケースの裏側はこんな有様。

P5051615.JPG

アクスルシャフトの右側に嵌っているカラーが曲者で、外径が35.5mmときた。
これでは市販のオイルシールが使えない。ラビットにはこういった規格外の独自寸法が
チョコチョコ見られる。

先日友人と話していて辿り着いた結論は、「社外品を使えなくするため」ということ。
要するに、純正部品しか使えないように、わざと変な寸法の部品を使用しているのだ。

現代の感覚で言うと、「独りよがりで気の利かない間抜けな設計」となるが、
時代背景を考えると粗悪な社外品というのが多かったのではないか。
それで、敢えて品質の保証された純正部品しか使えないようにしたのではないか。
特にオイルが漏れて困るアクスルシャフトやトルコンのオイルシールは
そのようにしたのではないかと推察した。

が、それから半世紀以上経過した現在でこれを何とかしようとすると、当然メーカーの
純正部品は供給されないし、メーカーも想定した耐用年数を大幅に超えて運用されている
車両に対して新たに部品供給する気なんかさらさら無いだろう。
なので、市販品を流用するしかないが、そうなると当然前述のような問題が発生する。

今回、ここのオイルシールは内径が35mmのものを使用することにした。
直径で0.5mmカラーを削り込めば良いのだが、そうなると片肉0.25mm。
素人が削るには結構難易度が高いうえに、どうやら表面焼入れがされているようなので、
敢えてキツ目のシールを使用してみることにした。
軸の周速度が大したこと無いので、正常に潤滑されていれば問題は出ないだろう。
もし問題が出れば、その時は外径35mmのカラーを新規に作れば良いだけだ。

P5061616.JPG

ケースを洗浄したら、油粘土の下から出てきた表面は銀色のラッカースプレーで塗装されていた。
足付けも脱脂もせずに塗ったらしく、まだらに剥がれている。
義父に聞くと、どうやら自分で塗ったらしい。・・・・仕方ないなぁ。

とりあえず、機能に問題は無いのでこのまま組み立てる。

一方、この油粘土の発生原因は?というと、裏側の汚れ具合からするとエンジン本体が怪しい。
シリンダー周辺を観察すると、あちこちから油が漏れた形跡が。

P5061617.JPGP5061618.JPG

ここまで来たら、後8本ネジを外せばピストンまで見える。
ヘッドを外すと、案の定ガスケットが吹きぬけた形跡があった。
シリンダーのベースパッキンも同様。
ガスケットを交換せずに、シリコンシーラントを塗りたくって組んだ跡があった。

P5061619.JPG

ピストンの側面には酷い齧り跡がある。恐らくゴミ噛みによるものだろう。
焼き付きでは無さそうだ。
ピストンピンを抜こうとするが、硬くて抜けない。結局ハンマーで叩き出したが、外れたピストンを
観察すると、ピン穴周辺に沢山打痕がある。クリップの溝が叩かれたせいで棚落ちしている。

フルフローティングの筈のピストンピンは、ピストンに固着していたようだ。
ピン穴内部にもダメージが及び、焼き付きのような状態になっている。

P5061620.JPG

幸い、クランクシャフトにはダメージは無いようだ。

何で、シリンダーを外したのか定かではないが、分解の際にピストンピンをむやみに
叩き出したこと、ガスケットを交換しなかったこと、ゴミを噛ませたまま組み立てたこと、
これらの作業のまずさが今回のトラブルの要因だ。

ピストン側面の傷はオイルストーンで入念に磨いてかえりを完全に除去した。
深い縦傷は残るが仕方ない。
ピン穴周辺は、棚落ちしている部分を慎重に鑢で削り取った。
あまり好ましくは無いが、予備のピストンを持っていない以上何とか再利用するしかない。
破片が脱落して噛み込むのを防止するのだ。

P5061621.JPG
真っ黒けのクランクケースを洗浄する。
酷い有様としか言えない。

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洗浄後、ピストンを組み立てた。

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シリンダー内部にも縦傷がある。
これをホーニングして傷を消した。
入念に洗浄して組み立て準備完了。

P5101624.JPG

今回使用するガスケット類はこれ。
純正品のデッドストックだ。
当時のガスケットはアスベストを使用していたりするので取扱いには注意。
カワサキを触り慣れた経験からすると、随分薄いジョイントシートを使用している。
これで漏れないのか甚だ疑問だ。
今回はこのガスケットにパーマテックスの液体ガスケットを塗布して使用する。

ちなみにヘッドガスケットとベースガスケットはこれで在庫1となった。
もう601のエンジンは後1回しか純正部品を使ってのオーバーホールはできない。
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