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シャマルの燃料ホース [MASERATI]

最近どうも給油後に燃料臭いなと思っていたシャマル、だんだん酷くなってきているので
修理をすることにした。

よくあるパターンは、燃料タンク内のガソリンの蒸散防止装置の一部である
チャコールキャニスターの詰まりが挙げられる。
これが詰まると蒸発した燃料が配管の継ぎ目やホースの差込などから漏れ出して、
室内にガソリン臭がするというものだ。

シャマルのそれは、トランクの真下、デフオイルクーラーの後方、両方のサイレンサーの
間にぶら下げられている。

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外している最中。左に寄ってぶら下がっているが、真ん中にきちんと付きます。

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外れた。
これには3本のホースが接続される。
燃料タンクからのホース、エンジン(インテークマニホールド)へ繋がるホース、
そして負圧のホースだ。

オートバイと違って自動車の燃料タンクは密閉構造となっていて、
動いていないときのガソリン蒸気はこのチャコールフィルターに吸収される。
あまりにも蒸気圧が上がりすぎるとリリーフポートから大気中へ放出される。
エンジンを始動すると、負圧によって作動するバルブが開いてエンジンへ
ガソリン蒸気が吸い込まれるという訳だ。

さて、このフィルター、結果は詰まっていなかった。
エアを吹き込んでみるとリリーフポートから空気が出てくる。
負圧作動のダイヤフラムも問題は無い。

見つけた問題点はホースの接続部で、ホースバンドの締め過ぎで樹脂のチューブが
潰れて殆ど閉塞している状態だった。

「なるほど、原因はこれか」と思いながら、きちんと負圧が出ているか、
エンジンを始動してみた。

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リフトに上げた状態でエンジンを始動すると、なにやら後方で水音が・・・
何かが激しく漏れ出ている!!!

慌ててエンジンストップ。
漏れた液体を確認すると明らかにガソリン。

何処から出たんだ?

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出所は燃料フィルター付近と判明。
ホースを触ってみると、ベタベタになっている。
ホースバンド付近は奇妙に膨れている。

道理でマフラーの一部が真っ赤に汚れていた訳だ。
何か動物でも轢いたのかと思ったが、血糊の感じとはちょっと違うし、何かと思っていたら
ガソリンだったとは。

思えば10年ほど前、山陽自動車道を走行中に、宝塚インターの手前で突然失速して
そのまま走行不能になったことがあった。
その時は燃料タンク内でホースが裂けて燃料圧力が低下してしまったことが原因だったが、
修理の際に全て交換したはず。

疑問に思うのは、何故シャマルだけ10年ごとに燃料ホースが裂けるのか・・・
他にも20年オーバーの車が何台もあるが、一度も燃料ホースなんて交換したことが無い。

幸いなことに、燃料はほぼ空だったので躊躇する事無くホースを取り外してみた。

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フィルターの入り口、出口、そしてエンジンからのリターンの3本だ。
いずれも金属ホースに差し込んでいる部分にダメージがある。

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一番長いリターンのホースはこの有様。
途中までホースの内部にガソリンが染み込んでブヨブヨに膨潤してしまっている。。
表面はゴムが変質して溶けてベタベタだ。

このホース、メーカー出荷時からコルゲートチューブで保護されている。
そのコルゲートの内部にもガソリンが溜っていた。
ホースから染み出たと推察。

いっそ無いほうが良いのかも。

ともかくホースを交換せねば話にならないので、キノクニに汎用の燃料ホースを発注した。

続いて燃料タンク内部の点検。

P6211681.JPG

黒い筒状のものが燃料ポンプだ。インタンク式のサブマージポンプである。

ここにもホースが繋がっている。触った感じでは悪くは無いが、少々硬くなっているような・・・
弾力性が失われているっぽいので、これも併せて交換することにした。

ひとまずホース待ち。


S-601 納車整備8 [ラビット]

トルコンの組み立てに入る。

P6071655.JPG

一度分解されている形跡がある。薄い紙パッキンに液体ガスケットが塗られていた。
シールの外径が特殊なため、ラビットハウスさんのキットを使用してリペアする。

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紙パッキンの代わりにOリングでシールするため信頼性が高い。

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出来上がり。これをクランクケースに組み付けて・・・
次いでトルクコンバータ本体を組み付けようとしたところ・・・・

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なにやら見慣れぬ物体を発見。
どう見ても、ニードルローラーベアリングのニードルだ。

パーツカタログで確認すると、内部にスラストベアリングが組み込まれている。
これか?

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仕方ないのでトルクコンバータ本体を分解した。

P6071660.JPGP6071661.JPG

ハウジングの内面とタービンの外面にはびっしりと打痕が付いている。

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肝心のスラストベアリングはというと・・・
バラバラ。1本もニードルが残っていない。

サイズを測定すると、これまた特殊規格で内径は合う物があるが、外径が2mmほど
小さいのだ。ググってみても、過去のヤフオクの情報が出る程度で有意な情報は無い。
ラビットハウスの山田氏に問い合わせてみたが、やはり在庫はお持ちではないようで、
現行の部品で何とかするしかない。

ひとまずモノタロウで純正のスラストベアリングの外径に近いサイズのものを
2種類発注してみた。アンダーとオーバーだ。

次いで、このベアリングが組み込まれるタービン側を検証。
肉厚はあまり無さそうだ。

程なくしてスラストベアリングが届いた。
早速現物を見比べて切削加工をしてオーバーサイズを組み込むことにした。

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数回に分けて突っ切りバイトで慎重に内径を広げる。

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片肉1mm削り、市販のベアリングが収まるようになった。

タービン側はこれでOKだが、反対側のハウジングに問題あり。
ニードルのケージが接触した状態で結構動かされたようで、完全な平面ではなくなっている。
こちらも切削加工したいところだが、上手くチャッキングできないので機械加工は断念した。
ひとまずこの状態で復旧して問題が出るまで使ってもらおう。

トルクコンバータを組み付け、オイルを満たして試運転してみた。

ひとまず修理は成功。問題なく加速する。

が、他にも問題点がチラホラ。
まずはヘッドライト。自動車用のものが取り付けられていて、光軸がでたらめ。
フィラメントの配置が違うのか、ハイ/ローの切り替えも変。
これはスペアの中古純正シールドビームに交換した。

次いで、200m程走ると必ずエンストする。暫くすると再始動可能だが、全然吹けない。
5分ほど放置すると、また200m位は走れる。
どうやら燃料が落ちて来ていない様だ。
燃料計も動いていないので、内部を掃除しようと分解を試みるが・・・

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燃料タンクの左側に上下に貫通するパイプがあり、その中をスピードメーターのケーブルと
スターターバルブのケーブル、ワイヤーハーネスが通っている。
つまり、これらを全部分解しないことにはタンクを車体から外すことができない・・・

全くもって、あきれるのを通り越して感心するくらい後々の整備性を考慮していない設計だ。

タンクを取り外すことはひとまず断念して、燃料計の修理だけでもと分解を始めたが・・・

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むー。固着を外そうとウォーターポンププライヤーで少し回転させたらあっさり壊れた。

アンチモンのダイキャストなのだが、肉厚が薄い上に劣化しているのかボロボロ崩壊する。

それでも何とかフロートを取り出した。

P6201670.JPG

内部は錆とガソリンの変質したワニスでベタベタザラザラだ。

内面を入念に洗浄し、キャブレタークリーナーでフロートを洗浄する。

この燃料計、良く考えられている。

針は薄い金属板に接続されていて、緩くねじれている。
一方、フロートには切り欠きが縦に付いていて、それが外筒のあわせ面(板を丸めて筒にしている)
に、内側に向けて突き出た耳が設けられていて、そこにフロートの切り欠きが噛みあって、
フロートは回転する事無く液面に応じて上下に移動する。
このフロートの位置に応じてねじれた金属板が回転して針が動くのだ。

P6201671.JPG
P6201672.JPG

さて、割れたアンチモンはエポキシ系の接着剤で固めた。
粉々になった部分はひとまずアルミテープで穴を塞いだ。

外したカバー類を元に戻し、キャブレター側から燃料ホースにエアを吹き込んでみたら、
燃料が落ちてくるようになった。
タンク内にゴミがあるのだろう。

試走すると、今度は何キロ走っても止まることは無くなった。

とりあえず、この状態で引渡しをすることにしてトラックに積み込んで岡山まで届けた。
燃料タンクは後日、部品取り車の別のタンクを処理してから交換することにした。

やれやれ、半年近く整備に時間を掛けてしまった。
遅くなり申し訳ない。

ひとまず納車整備はこれで終わり。





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