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750TURBO リアブレーキ [BIKE]

暫く前に整備したリアブレーキ、とんでもない失敗をしでかしていました。

先日組みあがったエンジンの調子を見るため試運転をしていたところ、
突然リアブレーキの引きずりを発生。
夜だったため何も見えず、途方に暮れていたが、冷えてくると何も無かったかのように
引きずり解消。
原因不明のまま、一旦ガレージに戻り、点検するも特に不審な点は見つからず。

その後、近所を走り回ってみたものの、再発せず、ゴミでも入っていたかな?位で
深く考えていなかった。

その後、所要で高速に上がったときに再発。
間の悪いことに路側帯が狭い場所で、広くなるところまで数キロ無理やり走ったら・・・
当然ブレーキは焼けて、白煙を上げる始末。

どうしようもないので、その場はブレーキフルードを抜き、ピストンを押し込んで
走行を続けることになった。
熱くて触れず、モタモタしていたらNEXCOのパトロールカーが到着。
応急処置の間交通整理をして頂いた。
大変申し訳ない。


さて、焼けたキャリパーは・・・・
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黒かった筈だが、見事なまでに金色に変色した。
ディスクもパッドのコンパウンドが焼き付き、再利用は躊躇われる状態。

ひとまず焼け焦げのキャリパーはオーバーホールが必須だが、それより原因を
確かめないといけない。
思い当たるのは、ZR-7用のピストンだ。
長さが異なっていたのを、ロッドで調整すればいいと安易に思い込んで組み込んだことが
原因だと思われる。

そこで、マスターシリンダーを分解してオリジナルのピストンとじっくり見比べてみると・・・

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シールの位置が約4mm違う。

よくよく考えるとロッドはストッパーで規制されるので、押し込む方向には調整できるが
伸ばす方向には無理だ。

一方、上側のシールはブレーキペダルがフリーの状態で、リリーフポートの下とメインポートの
中間に位置してキャリパーとマスターシリンダーのタンクが直結状態になる必要がある。
メインポートは上下のシール間に位置して、ブレーキフルードをピストンの中央部分に閉じ込めて
いる状態だ。

従って、4mmも長いピストンを適正な位置に持ってくると、下側のシールがマスターシリンダー
から飛び出してしまう・・・・
が、実際はストッパーに当たってそこまで移動できない。

このため、キャリパーに掛かった圧力が逃げられず、引きずりを生じていたのだろう。

そこで・・・
どうすればいいのかを考えてみた。

①オリジナルのピストンに現行のシールを組み替える。
②合うサイズのピストンキットを探す。
③いっそ別のマスターを付ける。

分解して各部の寸法を測ってみたところ、ZR-7用のシールの内径のほうが太い。
これをオリジナルに組み込むとセンターから漏れます・・・
よって①はダメ。
②の合うサイズのピストンキットなんてあるのかどうか判らない・・・・
気力も財力も無いのでこれも却下。
③しか無いかと、ブレンボのカタログを見たり、バイク屋さんに物色しに行ったり
したが、イマイチ合いそうなのが無い。

ZR-7用は長さは合わないが、リリーフできないだけできちんと機能している。
と言う事は、長ささえ合えば使えるということに気が付いた。

そこで・・・
このピストンの真ん中付近を金鋸でバッサリ切断。
そして・・・

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旋盤に咥えて端面を平坦に加工した。

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何度か長さの測定をしては切削をして目標の長さになるよう調整する。

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ほぼ同じ長さとなった。
バリを鑢で削り落として、このピストンを積み木のようにしてマスターシリンダーに
組み込んだ。

次はキャリパー。
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フロントと比べるとこんなに色が違う。
全分解してみたら、パッドはライニングが溶け落ち、バックプレートが熱で歪んでいた。
シールもピストンシールは無事だったが、ダストシールは炭化してしまっていた。
ブーツ類はかろうじて使える状態だが、どうせ分解するのだから新品に交換することにした。

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ブラストを掛けて一皮剥いてからエンジンを塗装した残りの塗料で塗装する。

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釜で180℃×30分の焼付け。

その後シール類を組み込み、オーバーホール完了。

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キャリパーに付いていたカワサキのバッジも茶色く変色していたが、
これは綺麗に外して接着剤で貼り直した。
変色は自分への戒めとして残す。

エア抜きをして、今度はきちんとキャリパーが戻ることを確認して、今回の修理完了。

ディスクはひとまずこのまま使用するが、いずれは交換せねば。
サンスターでワンオフするか、程度の良い中古を探すか、悩ましい。





S-601 納車整備7 [ラビット]

さて、シリンダーの組み立て。

ピストンはリングも外して溝を入念に掃除した。
ピストンピンは、スムースに抜き差しできるように、目の細かいペーパーで
ピン穴内面を仕上げておいた。

クランクケースのベース面を脱脂しておいて、ガスケットを貼り付け、リングの位置決め
ノックピンに注意しながら慎重にシリンダーを取り付ける。
シリンダーが納まったら、軽く固定ナットを掛けておいてから数回クランクを回して
滑らかに動く位置を出す。
ラビットにはシリンダーのノックピンが無いのでこの作業が必須。
対角にシリンダーの固定ナットを締め付けて、取り付け完了。
締め付けトルクは2kgf/m。

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次はヘッド。シリンダーほど気を使う必要は無いが、ガスケットの当たり面は
入念に掃除して、オイルストーンを掛けておく。
ここも十分脱脂してからパーマテックスを塗布したヘッドガスケットを載せる。
601のヘッドガスケットは変な形をしていて、真円ではない。
スキッシュ効果を狙ったのかとも思ったが、よく判らんな。真相は不明だ。

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一応、燃焼室内面は綺麗に掃除をしておく。
前回分解された際に付いたと思われる傷が多数あったので、これも磨いて消しておく。
本当なら修正面研を掛けたいところだ。

ヘッドは締め付けトルクが2.6kgf/m。数回に分けて締め付けた。

続いてチェーンケース。

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ケースに残っていたベアリングを引き抜く。

別に問題は無いのだが、標準クリアランスのベアリングのようなので、ここはC3をチョイスして
耐久性重視とする。C3のベアリングは音は多少出るが、破損のトラブルが出にくい。
なので、駆動系にはこれを使用することにしている。

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カバーのアイドラーベアリング。
これって、ストッパーも何もなく、ただ嵌っているだけ。位置決めはケースとツライチのようだ。
これでもまぁ、機能的には問題無いが、設計思想としてはどうなのよ・・・

叩くと割れそうなのでプレスで押し出し、圧入もプレスで行った。

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続いてアクスルシャフト。
このベアリングもプレスで圧入する。

この後、シャフトをケースに組み込むのだがこれが難儀した。
嵌め合いが硬く、プラスチックハンマーで叩いたくらいでは入ってくれない。
仕方なくこれもプレスで圧入するが、ケース側も両方からベアリングを圧入する
構造なので、そこにシャフトを押し込むと、反対側のベアリングが抜けてくる。

ジグを様々に工夫しながら何とか規定の位置にシャフトを納めたが、
サービスマニュアルによると手工具だけでインストールするようだ。
ちょっと無理。
もし、次回やるなら専用の圧入工具を作ろう。

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さて、折り返し地点は過ぎた。
次はトルコンのシールだ。

ビアンキのステムベアリング [自転車]

先日のこと、相変わらずの自転車通勤中になんだか違和感を感じた。
スピードのノリが悪いのだ。
直進安定性もなんだか変。

暫く前に交換したハブベアリングに問題があるのかと思って、あちこちチェックするも
異常ナシ。
タイヤの空気圧も問題ないし、体力的な問題かもとおもっていたら・・・・

翌日帰宅途中の峠の下りで、いきなりハンドルを取られて併走していたトラックに飛び込みそうになった。
ひとまず停車して暗がりの中チェックするも特段異常は無い。
ハンドルも軽く動くし、ホイールも振れていないし、タイヤも問題ない。

しかし、走るとフラフラする。
轍にタイヤを取られているかのような感触。明らかにおかしい。
カーブで寝かしこんでいくと、旋回性が小刻みに変化して上手く曲がれない。
違いなくステムベアリング(ヘッドセット)に何らかの問題ありと判断した。

ガレージに戻ってから、フォーク周辺をチェックすると・・・・
フォークというか、ステムにガタがある。前後左右に1mmほど動くが、上下方向には動かない。
何だこれ?

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早速分解してみると、下ワンがバラバラになって外れた。

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正式名称はボトムステーショナリーカップというこの部品、上側の圧入部とボールリテーナーを
支えるお椀型の部分の境で破断してしまっていた。

よくよく観察すると、この部品、アルミ素材を切削加工で形成しているのだが、破断した部分に
隅Rが設けられておらず、急激に断面積が変化するようになっている。
更に裏側は肉抜きされていて、肉厚は1mmほどしかない。
おまけに表面はクロムめっきが施されている。

こんな応力集中しそうな形状で、薄肉になっていて、めっきまでされていれば破断しても
不思議は無い。納得の結果だ。

とりあえず、アサヒの通販でタンゲの1インチJISのヘッドセットを購入。
信頼のMADE IN JAPANだ。

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破断したヘッドセットは角張った今時のデザインだったが、タンゲのそれはクラシカルな
ラウンドタイプ。これも悪くない。

しっかりとグリスアップして組み付けた。

走行してみると、フィールが激変した。
ステムがスムースに動くことが、こんなにも走行性能に影響するとは思ってもみなかった。
なんたって直進安定性が抜群に良くなった。当たり前か。
それと共に、スピードのノリも良くなった。ふらついていた分ロスしていたということだ。

限られたエネルギーを最大限引き出して走る自転車という乗り物、
僅かなロスを体感できる良い教材だと思う。

S-601 納車整備6 [ラビット]

さて、外したチェーンケースの裏側はこんな有様。

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アクスルシャフトの右側に嵌っているカラーが曲者で、外径が35.5mmときた。
これでは市販のオイルシールが使えない。ラビットにはこういった規格外の独自寸法が
チョコチョコ見られる。

先日友人と話していて辿り着いた結論は、「社外品を使えなくするため」ということ。
要するに、純正部品しか使えないように、わざと変な寸法の部品を使用しているのだ。

現代の感覚で言うと、「独りよがりで気の利かない間抜けな設計」となるが、
時代背景を考えると粗悪な社外品というのが多かったのではないか。
それで、敢えて品質の保証された純正部品しか使えないようにしたのではないか。
特にオイルが漏れて困るアクスルシャフトやトルコンのオイルシールは
そのようにしたのではないかと推察した。

が、それから半世紀以上経過した現在でこれを何とかしようとすると、当然メーカーの
純正部品は供給されないし、メーカーも想定した耐用年数を大幅に超えて運用されている
車両に対して新たに部品供給する気なんかさらさら無いだろう。
なので、市販品を流用するしかないが、そうなると当然前述のような問題が発生する。

今回、ここのオイルシールは内径が35mmのものを使用することにした。
直径で0.5mmカラーを削り込めば良いのだが、そうなると片肉0.25mm。
素人が削るには結構難易度が高いうえに、どうやら表面焼入れがされているようなので、
敢えてキツ目のシールを使用してみることにした。
軸の周速度が大したこと無いので、正常に潤滑されていれば問題は出ないだろう。
もし問題が出れば、その時は外径35mmのカラーを新規に作れば良いだけだ。

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ケースを洗浄したら、油粘土の下から出てきた表面は銀色のラッカースプレーで塗装されていた。
足付けも脱脂もせずに塗ったらしく、まだらに剥がれている。
義父に聞くと、どうやら自分で塗ったらしい。・・・・仕方ないなぁ。

とりあえず、機能に問題は無いのでこのまま組み立てる。

一方、この油粘土の発生原因は?というと、裏側の汚れ具合からするとエンジン本体が怪しい。
シリンダー周辺を観察すると、あちこちから油が漏れた形跡が。

P5061617.JPGP5061618.JPG

ここまで来たら、後8本ネジを外せばピストンまで見える。
ヘッドを外すと、案の定ガスケットが吹きぬけた形跡があった。
シリンダーのベースパッキンも同様。
ガスケットを交換せずに、シリコンシーラントを塗りたくって組んだ跡があった。

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ピストンの側面には酷い齧り跡がある。恐らくゴミ噛みによるものだろう。
焼き付きでは無さそうだ。
ピストンピンを抜こうとするが、硬くて抜けない。結局ハンマーで叩き出したが、外れたピストンを
観察すると、ピン穴周辺に沢山打痕がある。クリップの溝が叩かれたせいで棚落ちしている。

フルフローティングの筈のピストンピンは、ピストンに固着していたようだ。
ピン穴内部にもダメージが及び、焼き付きのような状態になっている。

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幸い、クランクシャフトにはダメージは無いようだ。

何で、シリンダーを外したのか定かではないが、分解の際にピストンピンをむやみに
叩き出したこと、ガスケットを交換しなかったこと、ゴミを噛ませたまま組み立てたこと、
これらの作業のまずさが今回のトラブルの要因だ。

ピストン側面の傷はオイルストーンで入念に磨いてかえりを完全に除去した。
深い縦傷は残るが仕方ない。
ピン穴周辺は、棚落ちしている部分を慎重に鑢で削り取った。
あまり好ましくは無いが、予備のピストンを持っていない以上何とか再利用するしかない。
破片が脱落して噛み込むのを防止するのだ。

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真っ黒けのクランクケースを洗浄する。
酷い有様としか言えない。

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洗浄後、ピストンを組み立てた。

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シリンダー内部にも縦傷がある。
これをホーニングして傷を消した。
入念に洗浄して組み立て準備完了。

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今回使用するガスケット類はこれ。
純正品のデッドストックだ。
当時のガスケットはアスベストを使用していたりするので取扱いには注意。
カワサキを触り慣れた経験からすると、随分薄いジョイントシートを使用している。
これで漏れないのか甚だ疑問だ。
今回はこのガスケットにパーマテックスの液体ガスケットを塗布して使用する。

ちなみにヘッドガスケットとベースガスケットはこれで在庫1となった。
もう601のエンジンは後1回しか純正部品を使ってのオーバーホールはできない。

S-601 納車整備5 [ラビット]

最初はちょっと手直しして渡すつもりだったけど、
だんだん何やっているのかよく判らなくなってきましたw

暫く停めておくと、チェーンケースの下にオイルの滴が落ちる。
本体がドロドロなのはこのせいか?
散々洗浄したけど全部を落としきることはできず、とりあえずリアホイールを外して
洗浄してみることにした。

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リアホイールの裏は凄まじいまでの油汚れだ。
何処から漏れているのか・・・

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とバックプレートを見てみるが、疑っていたアクスルシャフトの
オイルシールはシロ。ここでは無さそうだ。

となればチェーンケース、トルクコンバータ、後はシリンダーとマフラー周辺だ。
黄ばんだ透明な油が垂れているので間違いなくチェーンケースからは漏れている。
黒い油は排気ガスか?
チェーンケースは開けざるを得ないだろう。ということで・・・

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トルコンの油を抜き・・・

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コンバータ本体を引き抜き・・・

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裏は真っ黒け。
油でドロドロ。

で、チェーンケースの分解をしようとするが、あらゆる場所がフレームその他に干渉する。
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ダンパーを外したいのだが、ボルトがフレームに干渉して抜けません。
車体を大きくジャッキアップして、エンジンを無理やり下げ切ってようやく抜けました。

更に、マフラーのステーがチェーンケースのカバー側に留められているため、
マフラーを外さないとケースが分解できない。
その為にはファンシュラウドを外す必要があるが、その為にはキャブレターが邪魔で
まずはキャブレターから・・・

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とまぁ、何もかも分解しないと目的の場所に到達できない整備性の悪さ。

殆ど9割がたチェーンケースが剥き出しなのに、この体たらく。

ブツブツ悪態をつきながらもケースが抜けかけたが、今度はアイドラーのベアリングが抜けない。
ガタガタなのに抜けません。
サービスマニュアルによると、変な形の特殊工具が要るらしい。
そんなもの無いので、あり合わせの工具を駆使して何とか抜きましたが、もうしたくないのが
正直なところ。

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んで、駆動系を一緒に取り外すのだが、このチェーン、1次側も2次側もグダグダに緩いのに
どうやってもスプロケットから外れない。仕方なく、ジョイントを外して分解しました。
スプロケットはというと・・・

ドリブン側、つまりアクスルシャフトのスプロケットはクラウンナットで締め付けられ、
割りピンで固定されているが、これを緩めていると、何かがポロリと落ちた。

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!!!
先端の擦り割りの片側が脱落。
ここはスピードメーターギアが勘合する部分だ。

よくよく観察すると、割りピンの穴が、擦り割に対して直角方向に開けられていて、
突起部の断面積が極端に少なくなっている。
これでは割れる訳だ。
穴位置は擦り割りより奥に位置しているのでそれに平行に穴を開けるか、
溝そのものをもう少し深くして穴あけは避けるべきであろう。

明らかにデリカシーの足りない設計だ。

設計の拙さを非難していても埒が明かないので、とりあえず分解を進める。

シャフトは以前数本新品を持っていたのだが、実家で保管している際に捨てられてしまい、
残念なことに一本も残っていない。当時はなんでこんなにアクスルシャフトばっかり
新品をストックしているのか理解できなかったが、今回の件で、軒並み折れたのだと理解した。
もし自分が設計者なら、穴があったら入りたい心境だろう。

補修は困難だし、片側が残っていることもあるので今回はこれをこのまま再利用することにする。
残りが折れてもメーターが動かないだけだ。




750TURBO  ヘッドオーバーホール9 [BIKE]

えーっと、何処まで書いたっけ。

そうそう、オイルパンを分解したんだった。

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分解したオイルパンに残っていた油を流し切ると、中から結構な量の砂と小石、ガスケットの
削り屑が出てきた。
開けたのは無駄ではなかったということだ。

そういえば、以前からオイル交換するとドレンボルトのネジがざらつくような感触があったが
これが原因か。

どうやら以前分解された際に十分養生をせずに、クランクケース内にゴミを落として
しまったようだ。
私が落としたのではない証拠は、写真のオイルポンプのストレーナにびっしり付着した
ガスケットの削り屑だ。エエ加減なやっつけ仕事の痕跡がアリアリだったので、
こんな事態があってもおかしく無い。見た目が良ければそれでいい人種もいるということだ。
技術者としてのプライドは無いのだろう。

さて、気を取り直して洗浄して観察。

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結構塗装がヤレている。
カウリングに隠れて見えなくなってしまう部分だが、やはり気になる。
マスキングをしてブラストを掛けて、これも耐熱塗料で焼付け塗装を行うことにした。

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ブラストをして、間髪入れずに塗装を行う。
24時間乾燥させてから焼付けを行うのだ。

その間、腰上の組み立てを開始。

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前回落っことしたダンパーゴムはスーパーX で貼り付けた。
今回はもし内部に部品を落としても回収できるように、オイルパンを組まずに行う。

シリンダーベースガスケットにパーマテックスのガスケットスプレーを薄く塗布して暫く放置。
カムチェーンスライダーをクランクケースに載せ、オリフィスとOリングを忘れず装着すし、
ガスケットを載せて、シリンダーを載せてゆく。

ピストンリングを慎重に押し込み、ガスケットがずれていないことを確認してケースに密着させる。
かなり気を使う場面だ。

カムチェーンをトンネルから引き出しておいて、ヘッドガスケット、オイルラインピース、Oリング、
ノックピンを取り付けて、ヘッドを載せる。
この時点でカムシャフトは組んでいないので、クランク位置は何処でも問題ない。

この状態で締め付けナットを締めこんでゆくが、最後にカムチェーントンネル内のM8ボルトを
締めている最中に事故発生。

トルクは3kgf/mの指定だが、2回に分けて締めこんだところ、後ろ側が1.5kgfも掛からず
どんどん回る。最悪の手応えだ。

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引き抜いたところ、ねじ山が付いてきた。
ここまで来てやり直しかorz

嘆いていても埒が明かないので近所のストレートに走る。
ネジ穴リペアキットを買い込み、シリンダーのネジ穴修正開始。
周囲をガムテープで養生してからドリルで下穴を刳る必要があるのだが、真上にフレームがあって
ドリルが入らない。普通ならシリンダーを抜くのだが、一回締め付けてしまっているので
ガスケットのことを考えると抜きたくない。
そこで、ドリルの刃をウォーターポンププライヤーで摘んで手作業で穴刳りを行った。
相手がアルミなので、こんな荒業も可能。

下穴が開いたらタップ建て。
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下側はカムチェーンテンショナーの取り付けボルト穴に貫通しているので、慎重に
深さを測りながらタップを建てる。
ねじ山が形成できたらヘリコイルを挿入してタブを折り取って作業完了。

周囲を念入りに掃除して、再度ヘッドを載せて締め付ける。

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指定トルクは4kgf/m。
マニュアルには2回に分けて締めろとあるが、3回に分けて締めこんだ。
この辺は「気は心」という奴だ。

1-4トップを出しておいてからカムシャフトを載せて、タイミングを確認するが・・・
何度やってもマニュアル通りの位置にカムチェーンが来ない。
サービスマニュアルの絵の通りにスプロケットの合いマークが来ないのだ。
よくよく観察すると、合いマークがおかしいのではなく、カムチェーンのリンク位置が
絵と違う位置でしか止まらない。なんだろう?
マニュアルの間違いなのか、固有の問題なのか判らないが、半駒分だけタイミングが
ずれる。チェーンが伸びているのか?

思案の結果、タイミングが早くなるほうに半駒ずらして組み付けた。
遅いのは論外だ。この作業に数時間費やした。

カムチェーンテンショナーは組み付けた状態で、ロック用のテーパーシャフトをフリーに
した状態で組み付けを行う。チェーンが弛めば押し、張れば戻る状態だ。
この頃だけ採用された側面からテーパーシャフトを押し込むタイプのテンショナーだが、
組み立てるときは楽だ。
現在のボールロックタイプはシャフトの磨耗や作動不良があってあまり好きじゃないのだ。

バルブクリアランスはヘッド組み付け前に調整完了している。
クリアランスの基準値は許容範囲が示されているが、このちょうど真ん中をターゲットに
広くなる方向になるよう調整した。

何故ならバルブのクリアランスは狭くなる方向にしか変動しないからだ。
リフターが磨耗すれば広くはなるが、正常な潤滑が行われている限りはリフターの
磨耗は無視できる。もしくはカムホルダーかカムシャフトのジャーナルが磨耗すれば
広くはなる。これも潤滑に問題が出ない限り発生しない。

潤滑は正常で当たり前なので、それ以外で隙間が変化する要因といえば、バルブシートの
沈み込みと、バルブフェースの磨耗だ。
入念に擦り合せを実施したとはいえ、エンジンが回転すると擦り合せ時とは比較にならない
力と熱と衝撃が数え切れない回数発生する。
熱的にも潤滑的にも非常に厳しい環境下で馴染みも発生するだろうと予測しているのだ。
これは避けられない現象なので、広めのクリアランスで馴染んでも基準値から外れることが
無いようにとの配慮だ。

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エンジン本体は組みあがった。給排気関連の部品を組み付けて、ちょっと化粧直し。

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GPz系の空冷エンジンは、ヘッドのフィン端面が機械加工仕上げされてアクセントになっている。
塗装してここにも塗料が付着しているので、粗めのペーパーで磨いてヘアライン仕上げとした。
周辺の塗装を傷めないようにマスキングを行ってから作業。

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補機の組み付けに際して、サージタンク裏のプレッシャーセンサーのダンパーゴムが
劣化してカチカチになっていたので、新品に交換。有難い事にまだ部品が出る。

さて、腰上の組み立てが終わったので、オイルパンの組み立てを開始。
ヘッドを組んでいる間に焼付けの終わったオイルパンの組み付け準備をした。

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ターボのオイルパンは二階建て構造になっている。
下側にタービンからのオイルリターン専用のオイルパンが追加されているのだ。
ここはOリングでシールされるのだが、このリングが欠品だ。
ゴム紐から作ってもいいが、ちょうどいい太さのゴム紐が無かったので、ジョイントシートを
使ってシールすることにした。

オイルパン中央にある2本のボルトで締め付ける構造だ。
ボルト穴のあるダボが周囲とツライチなので、そのまま外周だけ取り付けるとここに隙間ができ、
ボルト周辺からオイル漏れを起こす原因となる。
かと言って、ここに同じ厚さのパッキンを入れると周囲の締め付けが甘くなる。

なので、外周部のパッキンは1mm厚さ、ボルト穴周辺は0.5mm厚さで切り抜き、
ガスケットペーストスプレーを塗布してから組み付けた。

これでここからの漏れは治るだろう。

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オイルパンのパッキンは左がターボ用、右がZR-7用。
万一のことを考えて、コピーをとっておいた。
もう一度外す必要が生じても、これで切り出すことが可能だ。

随分と平面が多いデザインだが、外周の形状は一緒。
平面部はバッフルプレートの役目を果たすと推測。
オイルの泡立ちを抑え、気泡の噛み込みによるタービンの損傷を防ぐのではないか。
開発中に何かそういうトラブルがあったのかもしれない。
ターボ特有の構造だ。

タービンから戻ったオイルは、前述の小さな小部屋に溜り、ここから別のオイルポンプで
汲み上げられてオイルパンに戻る。これもターボ特有の構造だ。
このオイルラインがクランクケースとオイルパンに設けられており、ここが他のザッパー系の
エンジンとの最大の相違点だ。
すなわち、ターボのクランクケースだけが特別あつらえになっていて、互換性が無いのだ。
他にもタービンのマウントボスが付いているとかいろいろ違いがある。

念を入れて締め付けを確認した後、新品のフィルターを組み込み、オイルを注入。
使用する銘柄はシェル・ヒリックス・ウルトラだ。
マセラーティと共用だ。
4輪用のオイルはダメだとか言われているが、今のところ問題が出たことは無い。
むしろ、ターボ用のオイルが無い二輪用は如何なものか・・・とか思っている。

外装を組み付け、始動を試みたところ、一瞬火が入ってからは火が入る気配が無い。
ガス欠気味なのと、バッテリーが弱っているのも原因か。
ブースターケーブルを接続して、自動車用バッテリーで始動した。

以前はカチャカチャと騒々しかったメカノイズは消え、新車のような静かさになった。
ゴッゴッゴッ・・・と少し脈動しながら回っていたアイドリングもズオーッと継ぎ目の無い
連続音で回るようになった。

魂が宿った瞬間だ。

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雨が上がったら慣らし運転に出かけよう。


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